組織的な大学院教育改革推進プログラム「人間科学データによる包括的専門教育」
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セミナー
エビデンスにもとづく臨床心理学と認知行動療法エビデンスにもとづく臨床心理学と認知行動療法」
講師:丹野義彦(東京大学大学院総合文化研究科教授)
日時:2008年11月21日(金) 15:00-17:00
場所:大阪大学人間科学研究科 東館2Fユメンヌホール

趣旨

1990年頃から欧米の臨床心理学でさかんになってきたエビデンスにもとづく実践Evidence-based Practiceは、これからの日本の人文諸科学を考えるに当たっても重要である。こうした動きの中で注目されるようになった認知行動療法は、心理療法の技法としてだけでなく、心理アセスメント、異常心理学、臨床心理学研究の方法論としても発展し、「認知行動アプローチ」と総称される心理学の一領域が育ってきた。こうした動向について紹介しつつ議論した。

セミナー概要

本セミナーは、最近の心理学で進む静かな革命(パラダイム・シフト)として、1. 基礎研究から職能心理学へ 2. 勘からエビデンスへ 3. 精神分析から認知行動療法へ という3つの観点から構成された。

第一の職能心理学への移行について、イギリスやアメリカなど心理学の先進国の動向から、臨床心理士をはじめとする職能心理士の急増やそれに対する社会的ニーズの高まりという現状が紹介され、我が国の心理学界(資格制度、学会組織等)の未成熟という問題が指摘された。第二のエビデンス重視という点については、メタ分析や効果量という治療効果研究の発展から、心理療法の効果を測定することが可能になり、さまざまな症状に対して認知行動療法の効果が高いことが実証されたこと、それに基づき、イギリスでは国家レベルでもセラピスト養成施策などが打ち出されるようになったことが提起された。第三の認知行動療法への移行については、これらの背景を踏まえ、近年では精神分析から認知行動療法への臨床心理学・心理療法の重点移動が進んでおり、認知心理学や行動主義心理学という心理学理論に基づく認知行動療法が発展していることが論じられた。まとめとして、我が国においても、基礎心理学と臨床心理学の連携による職能心理学の確立が急務であることが議論された。

参加者は84名であり、学内の大学院生(前期・後期)、学部学生はもとより、教員(教授、准教授、助教)、医学部関係者、そして兵庫教育大や京都教育大などの心理学系の教員、大学院生も参加し、カウンセラーや臨床心理士など現場で働く専門職からの参加もみられた。セミナー半ばで回収された質問カードには、参加者から多数の質問、意見が寄せられ、参加者の関心の高さをうかがわせた。また講演者からそれらの回答を分類したうえで適切な回答がなされ、心理学・臨床心理学も専門的教育という意味でも限られた時間ではあったが有益なものであった。

セミナーを通じて、我が国の臨床心理学、心理学の現状を理解し、今後の方向を考える上で非常に有意義な機会となった
 
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