組織的な大学院教育改革推進プログラム「人間科学データによる包括的専門教育」
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パネル・データの調査設計と解析技法「パネル・データの調査設計と解析技法」
講師:中村高康(大阪大学大学院人間科学研究科准教授)、村上あかね(東京大学社会科学研究所准教授)、吉川 徹(大阪大学大学院人間科学研究科准教授)、権藤恭之(大阪大学大学院人間科学研究科准教授)
日時:2008年12月10日(水) 13:00-15:00
場所:大阪大学人間科学研究科 東館207ユメンヌホール

教育社会学、家族社会学、社会階層研究の各分野において実施されたパネル調査の設計や実施にまつわる話が報告された。

「学校パネル調査の設計と実際」(中村高康)では、高校生を対象としたパネル調査の設計と、実査・データ処理・分析など実際上の工夫について報告された。調査設計に関しては、「学校パネル調査」の利点として、�入学から卒業までの個人の変化を包括的に観察・分析できること、�対象者のおかれている文脈を把握しやすいこと、�対象者の質的データや内部資料を収集しやすいこと、�サンプルの脱落が少ないこと、�脱落サンプルにもデータ価値があること、�少ない費用で調査ができることが挙げられた。特に、ある組織を長期にわたり観察することで、アンケート調査という量的調査と、インタビューや観察という質的調査を組み合わせて、総合的調査研究というアプローチが可能になることが協調された。調査の実際に関しては、現場への調査結果の還元、脱落サンプルの防止対策、複数時点の個人データを対応させる方法、調査内容の問題、分析の問題について議論が行われた。

「若年・壮年を対象としたパネル調査の意義と課題」(村上あかね)では、家計経済研究所による「消費生活に関するパネル調査」と、東京大学社会科学研究所による「働き方とライフスタイルに関する調査」を中心に、若年/壮年を対象とした前向き/毎年パネル調査の意義と課題について報告された。調査の意義については、パネル調査一般の意義として「個人」の変動を把握できることと、若年/壮年を対象とする調査の意義として長期的なライフコースの把握が可能であることが指摘された。また、回顧調査やインターバルのある前向きパネル調査に対する、前向き/毎年パネル調査の意義として、測定の正確さ、豊富な時間依存共変量、追跡可能性の向上という点が挙げられた。同時に困難な点として、生活変動の激しさ、コストの問題、1〜2年では意識や行動の変化が少ないことが指摘された。次に、前向き/毎年パネル調査の課題として、�プロジェクト全体のマネジメント、�調査の企画・運営、�大量のデータの分析が指摘された。最後にまとめとして、パネル調査のメリットを生かすための魅力的な仮説に基づく/を生み出す研究の必要性が強調された。

「ライフコース長期追跡データの諸課題」(吉川徹)では、人生の中盤と後半という長期のインターバルで対象者を追跡した国際比較世帯調査について、データ追跡の苦労話なども含めて報告があった。まず、WP長期追跡パネル調査の紹介があった後、パネル調査のメリットとして、同じ項目を繰り返し聞くことで個票の時点間変化を知ることができることと、ライフコースの記述に有益であることが指摘された。次に、パネル調査の難しさとして、横断的調査の回顧情報との有効性とのせめぎあい、有効回答サンプルの減耗にともなう代表性の喪失と分析上の困難、第1派調査の設計の重要性、実査にまつわるロケーティングや回収の困難について指摘があった。さらに、このような困難があるとともに、面接実査のノウハウが蓄積されたこととが強調され、最後に、現在進行中の時間間変容の日米比較分析についての紹介があった。

指定討論者の権藤恭之氏から、高齢者を対象としたパネル調査の紹介があった後、1回目の調査の質問項目の量、サンプルの脱落に伴う代表性と分析上の問題、調査対象者へのフィードバックに関する問題などの指摘があり、これらの点について、登壇者と議論がなされた。最後に、各登壇者より、パネル調査を用いた今後の分析計画が述べられた。

(参加者:20名)
 
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