大阪大学人間科学研究科

「実践的研究者」養成をめざす人間科学教育

(フィールド経験と理論的世界との統合)の全体像

(1)取組概要

大阪大学の人間科学研究科は創立以来、日本の「人間科学」のパイオニアとしての中心的役割を担ってきました。

現在の人間科学研究科からは、大阪大学が実施する21世紀COEプログラムのうち3つに事業推進担当者が参加しています——「インターフェイスの人文学」(分野:人文科学)、「アンケート調査と実験による行動マクロ勤学」(分野:社会科学)、「フロンティアバイオデンティストリーの創生」(分野:医学系)。このように人文科学、社会科学、自然科学の多様な分野に先進的研究者を提供できるところに、人間科学研究科が広い学際性のもとで文理融合の理念を実現していることが示されています。 人間科学研究科は、大阪大学が文理融合的で学際的な教育研究プログラムを推進していくための、重要なハブの一つとして位置づけられます。

日本の「人間科学」のパイオニアとして過去三十年あまりにわたって、新たな研究領域を切り拓き、数多くの研究者を生み出してきた本研究科の伝統をさらに発展させるために、「実践的研究者」の養成を基本理念として、大学院教育の整備拡充を図ります。 「実践的」(practical)という語には、「豊富な実地経験をもつ」(real situations)、「分別のある」(sensible)、「現実的な」(likely to work)、「役に立つ」(useful)などという意味がこめられています。アクチュアルな課題意識をもち、現場・フィールドで生活する人々と適切な関係を築きつつ、各種の理論的知識を駆使しながら、解決すべき諸課題に応えていくことができる人材が、「実践的研究者」のイメージです。

本研究科では、創設以来一貫して、大学院生たちの「現場体験」「フィールドワーク」「臨床活動」を重視してきました。 現在も、本研究科の教員・院生は、ニホンザルの行動研究や学校等の教育機関での参与観察調査、あるいは世界各地での文化人類学的フィールドワークから、被災地での復興支援活動や各種の国際ボランティアにいたるまで、多種多様なフィールドにおいて多彩な研究実践活動に携わっています。

このような実績をふまえ、人間科学研究科の教育システムをさらに一貫した、全組織的なものとするために企画したのが本教育プログラムです。 このプログラムを通じて、大学人としてだけでなく、官公庁・国際機関・NPO等の民間団体・各種教育機関等においても活躍しうる「実践的研究者」の育成をめざします。

(2)プログラムの骨子
本研究科では、「人間を研究対象として、現実の人間の行動、心理、社会などをさまざまな側面から科学的に分析・評価するとともに、人間という存在を理解し、人間が人間らしく生きていける仕組みをつくることを目指した研究を行う」ことを、アドミッション・ポリシーに掲げている。この理念に即して、本研究科が養成しようとしている人材を「実践的研究者」(practical researcher)という言葉で表現したい。

本教育プログラムを通じて、その実践的研究者の養成機能を大幅に強化しようというものである。

�本研究科の基本的特徴である「文理融合」「学際性」を大学院生が享受できる柔軟な教育課程編成。

�「フィールドワーク支援」:人間科学に欠かすことのできない「フィールドワーク」「現場体験」「臨床活動」のカリキュラム化(「人間科学フィールド演習」)。

�「研究活動支援」:人間科学の方法の基礎をなす研究スキル・態度、さらには研究計画の立て方や論文の書き方を具体的に習得する科目の設置(「人間科学方法演習」「人間科学方法研究「人間科学方法実習�」「人間科学方法実習�」)。

�「室体制の充実化」:研究活動を積極的に展開できる資質養成のための支援体制の充実(「研究推進室」の設置と現存の「サイバーメディア室「国際交流室」「学生支援室」の拡充)。

�「論文執筆プロセスのシステム化」:5年間の研究活動を博士論文の完成に結びつけるための研究指導の体系化(「スプリングレポート」 「ウインターペーパー」等の設置)。
概念図
関連資料
新時代の大学院教育 −国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて−
中央教育審議会答申 平成17年9月5日「大学院教育振興施策要綱」の策定について
高等教育局大学振興課大学改革推進室 平成18年3月30日日本学術振興会:「魅力ある大学院教育」イニシアティブ